【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第5章 背中に触れた時
深夜3時
全然眠れない…
安室さんに掴まれた手首が、じわりと熱い。
もし、あのままわたしが首を縦に振って、「いいよ」と言っていたら、安室さんはどうしてたの…?
わたしのこと、好きでもないのに抱きしめるの?
好きでもないのにキスをして
好きでもないのに、身体を繋げてた?
わたしは、即座に拒絶するべきだった。
なのに、どうしてか出来なかった。
わたしのこと好きでもないのに触らないで
そう思う気持ちと、
安室さんにもっと触れたい。触れられたい。
そう思う気持ちがひしめいて、身動きが取れなかった。
どうかしてる。
恋なんかじゃないのに、こんなに惑わされてるなんて。
安室さんと過ごすのは、タイムリミットがあるのに…
1ヶ月が過ぎたら
ストーカーが捕まったら
わたしたちは一緒にいる理由がなくなる。
きっと安室さんはそのうち恋人が出来て、わたしとこんな風に一緒のベッドで眠ったことも、ただの思い出になる。
冷静になれ、わたし。
わたしの名前を呼び捨てにするのも
わたしの髪を撫でるのも
優しく微笑むのも
全部深い意味なんてない。
ないのに…
Next Chapter...