【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第39章 スキャンダルのその先は ☆
「一度、打ち合わせの終わりに藤さんに車で送っていただいたことがあって、その時に藤さんの自宅に寄って荷物を下ろすのを手伝っただけです。
その時、躓いて転びそうになったわたしを支えてくださっただけで…
付き合ってるだの、愛を育んでいるだの、事実無根です!」
わたしの必死の形相の説明に、山岸さんはホッと胸を撫で下ろしたような顔をした。
「じゃあ、事務所としては事実無根とコメントを…」
「待った」
そう言って、山岸さんの発言を止めたのはコラボ企画のプロデューサーだった。
「藤くんも、Lilaくんと同じ意見かな?」
「…えぇ。あの日はたまたまマネージャーから持ってきてほしい資料があると言われ、急遽自宅に寄っただけです。
ただ、一緒にマンションに入ったのは軽率でした。
すみません。」
藤さんもそう言いながらプロデューサーに頭を下げたけれど、そのあとプロデューサーからまさかの提案が飛び出す。
「…この記事、今回のコラボに利用できないか?」
そのプロデューサーの一言に、そこにいた面々全員が、プロデューサーが映るディスプレイを見た。
まさかこのスキャンダルを逆に利用しようと言うのだ。
零という恋人がいるわたしは、その提案を真っ向から反対する。
「わたしは反対です!
だって、実際2人の間には何も無いんだし、そんな騙すようなことして注目されても…!」
「Lila。これはビジネスだ。
どちらにせよ、この記事はもう出回っている。
SNSを見ても、この2人がどう言う関係か推測するような書き込みが溢れてる。
コラボ前に、ただのビジネスパートナーです。なんて公表すれば、客の興味は一気に無くなるぞ」
「でも!」
「もう一度言う。これはビジネスだ。
こうなった以上、リリース前にはっきりと否定することは、売上の減少に繋がる。
…肯定はしなくていい。
ただ、否定もしない。ノーコメントを貫くんだ。」
「そんな…」
まだ納得のいかないわたしの隣で、山岸さんが口を開いた。