【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第37章 ずるい
明日はいよいよ藤さんとのコラボ曲のレコーディングの日だ。
零と一緒に夕食を取っている時、突然山岸さんから電話がかかって来た。
「出ても良い?」
「もちろん。どうぞ」
一言零に断りを入れて、わたしは通話ボタンをタップした。
「はーい?」
「あ、Lila?
明日のレコーディングなんだけど、久しぶりに安室さんにも見学してもらうのはどうかな?
もちろん、安室さんが予定空いていればだけど」
「なにー?山岸さん安室さん好きすぎじゃない?
ちょっと待ってね。」
そう言うと、わたしは電話から耳を離し、テレビを見ていた零に声をかけた。
「零。明日ってポアロだよね?」
「?明日は休みだよ。どうした?」
「山岸さんが、レコーディング見学しないかって。
きっと、終わってから零と一緒に飲みたいだけなの。」
「あぁ。いいよ。
僕も久しぶりにリラの仕事に付き添いたいと思っていたし。」
その零の声が受話器から聞こえていたみたいだ。
山岸さんはわたしが返事をする前に嬉しそうに言った。
「やったー!良い店予約しておくよ!
Lila、くれぐれもレコーディングはスピーディーに頼むよ?」
「もう!本業はわたしのマネージャーでしょ?
零と飲みに行くのはオマケ!」
嗜めるようにそう言うと山岸さんは、はははと笑い飛ばしながら言う。
「じゃあ、明日はスタジオ集合で。
安室さんにもよろしく言っておいて」
そう言い残し、電話は切れた。