【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第36章 ドS男の過去 ☆
今日は藤さんが所属する事務所の会議室で打ち合わせだ。
打ち合わせの目的は、2人でデュエットする曲のイメージを擦り合わせるのがひとつ。
もう一つは、藤さんが歌うソロ曲が完成したのでそのデータを渡すこと。
会議室に通され、そわそわしながら待っていると、藤さんのマネージャーが部屋に入ってきた。
ガタッと椅子から立ち上がったわたしは、ペコリと頭を下げる。
「本日は、よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。
すみません、藤なのですがちょっと前の仕事が押していて…
Lilaさんのこの後のご予定は…」
「この後は何もないので、待てます。」
「すみません…
ではもう少しだけお待ちください。」
そう言いながら、マネージャーさんはわたしにコーヒーを出してくれた。
この人は、藤さんと仕事するのキツイと思うことないのかな…
あんなにストイックなんだから、きっとマネージャーにも同じぐらいのストイックさを求めるよね…
そう思いながら、その美人なマネージャーのことをチラチラ見ていると、にこっと笑って話しかけてくれた。
「藤と仕事するの、大変でしょう?
いつも口悪くてすみません…」
「い、いえ!最初はびっくりしたけど…
でも、藤さんが音楽に対する気持ちは本物だってわかってるので。
でないと、あんな凄い曲を短時間で作れません」
「マネージャーの私が言うのも何ですが、ラブソング以外は、天下一品なんです。」
「ラブソング以外…」
その言い方が意味深で、わたしは思わずその話を深堀りして聞いてしまう。
マネージャーさんは一瞬話すのを躊躇った後、わたしが今後、藤さんと仕事をしやすいようにと判断したのか、遠慮がちに話し始めた。