【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第33章 降谷零の右腕になるには ☆
安室side
リラに背中を流してもらうだけのつもりが、結局最後まで抱いてしまった…
自分の我慢の無さに大反省しながらも、シャワーを終え、髪を乾かそうとしたとき、リラが僕からドライヤーを取り上げた。
「?」
「わたしが零の髪を乾かしてあげる!」
そう言って僕の手を引くと、リビングのソファーの前に僕を座らせ、自分はソファーに腰掛けてドライヤーのスイッチを入れた。
温風と共に、リラの細い指が僕の髪を梳かす。
それが妙に心地良くて、目を閉じてリラの指の動きを辿っていると、リラは突然ドライヤーを止めて、僕の背中にぎゅっと抱きついてきた。
「?リラ?」
「…っ…」
ぐすっ…と鼻を啜る音がして、ハッと後ろを向くと、リラがポロポロと涙をこぼしていた。
「え…どうした…?」
「わ…かんな…
今になって、零が死ななくて良かったって…っ
ホッとして…っ」
顔を手で覆ってカタカタと肩を震わせながら泣くリラを、僕は優しく腕の中に閉じ込めた。
「大丈夫だよ。何ともないから」
「…うそ。痛いでしょ?腕…」
「痛いけど、大丈夫。
…生きてるから」
生きてるから。
そう言うと、リラは僕にしがみつきながら縋るように言う。
「零…ずっとそばにいて…
そばにいて…」
この日、リラは寝るまでずっと、僕にしがみつきながら何度もそばにいてと言った。
リラ。
僕は君のためなら、命を投げ出しても構わないと思ってたよ。
けれど、この時のリラの涙を見て思った。
もしも僕がリラを守って死ぬことになったら、リラは一生自分を責めて、残りの人生を後悔し続けながら生きる。
それは本意ではない。
僕が本当に守りたいのは、リラの幸せだ。
そして僕がそばにいることが、リラの幸せそのものなのであれば、僕は何があっても、君のそばを離れない。
「リラ。」
「…ん?」
「ずっと、そばにいる」
ずっと、そばに
それがどんなに難しいことか、今の僕にはわからなかった。
ただ漠然と、この先もずっとリラのそばにいるんだと思っていたから
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