【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第30章 ジェラシーの温度 ☆
今日は朝からありえないほどの上機嫌なわたし。
多分、ここ数ヶ月で1番鼻歌を歌っている気がする。
隣にはハンドルを握る大好きな零の姿。
見慣れているはずのこの光景なのに、これが旅行に行く道中と言うだけで何倍も輝いて見えるのだから不思議だ。
零と旅行!零と旅行!零と!旅行!!!
そんなふうに頭の中で何度も繰り返してはふふっと幸せの笑みが溢れる。
幸せだと歌いたくなる、根っからのシンガーのわたしは降りてきたメロディに出鱈目に歌詞を載せて歌う。
そんなわたしを見て、零が優しく笑った。
「ご機嫌ですね」
「そりゃあ!旅行だから!!」
鼻息荒くそう返すわたしに、零は優しく言った。
「今日は、仕事のことは忘れて2人でゆっくりしよう」
「そうだね!零も、仕事の電話出るの禁止だよ?」
「はいはい」
そして笑いながらわたしの髪を撫でる零。
昨日見せてもらったパンフレットには、美味しそうな料理と個室露天風呂が載っていた。
つまり、今日は零と二人っきりでお風呂に入って、部屋でゴロゴロイチャイチャして、美味しい会席料理をを食べて、またお風呂に入って…
そんな幸せの極みみたいな1日になるってことだよね??
と、絵に描いたような淡い期待を膨らませるわたし。
まさかこの期待があっさり裏切られるとは知らずに、窓から流れる景色を見ては顔が緩んで仕方なかった。