【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第29章 零と過ごす2度目の夏 ☆
ドキドキしながらその封筒の封を開け、中身を確認するとそこには高級旅館の宿泊券が入っている。
驚きのあまり、言葉を失って零を見ると、あまりにも間抜けな顔をしていたんだろう。
零はわたしの顔を見るなりハハッと微笑んだ後、優しい目をしてわたしの髪をぽんぽんと撫でながら言う。
「明日、旅行に行こう?一緒に」
「行く!!!!!!!!
…ぁ。おっきな声出ちゃった…」
思わず勢いよく行く!と言い、慌てて口を抑えるわたしを、零は笑いながら眺めた。
「初めてだもんな。一緒に旅行に行くのは」
「うん!というか、わたし旅行自体久しぶりすぎて…!
夏の温泉!いいね!
零、ありがとう…
記念日を忘れるどころか、こんなサプライズ…」
「これは、僕がリラと一緒に行きたいから買ったんだよ?」
「嘘だ。わたしのこと、1番に考えてくれたくせに。
…零、ありがとう。
大好きだよ…」
そう言ってぎゅーっとくっつくと、零は優しくわたしの髪を撫でてくれた。
「たぶん、僕の方がリラのこと好きだから」
「わたしの方が好きだよ」
対抗するように即答したわたしを見て、零はふふん。と微笑みながらわたしの耳元で囁いた。
とびきりの甘い声で。
「負けず嫌いですね。
そう言うところも、可愛いですよ」
「っ…!ずるい…」
応戦したものの、結局零の甘い言葉にあっさりと敗北した。
明日が楽しみ過ぎて、わたしはまるで遠足の前日のワクワクと似た気持ちを抱きながら、目を閉じて零の匂いを感じた。
1年経っても、全く飽きない
この愛しい匂いを。
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