【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第28章 苦しみのその先に
「新曲をひっさげて、ゲリラライブをしよう」
「ゲリラ…?!」
「当日朝にSNSで場所と時間を告知するの
歌うのは一曲。
わたしが書き上げる新曲」
「…確かに、それは話題性があるな…」
「で、でも大丈夫ですか?
復帰までそんなに時間はないし…
当日の警備のことも考えないと」
チャレンジが安定かで言うと、わたしが出した案は間違いなくチャレンジだ。
現実的な心配をするスタッフも当然いる。
「わたしの準備の方は大丈夫。間に合わせる。
だから、みんながいけそうならこれで行きたい。
…お願い。力を貸してほしい」
そう言って頭を下げると、スタッフの皆んなは優しい顔をして言った。
「うん。…Lila。
あの時は、ごめんなさい。
Lilaが傷付くような態度を取ってしまった」
「…俺も。ごめんな」
「みんな…」
わたしの過去が記事に書かれた時、みんなはわたしを同情の目で見た。
けれどそれは、至って普通の反応なんだ。
そんなみんなのことを、一度も酷いと思ったことはない。
「今度こそ、Lilaを支えたい。
だから、やろう。
復帰、絶対に成功させよう」
「うん!ありがとう!」
あの記事が出て、確かに遠回りした。
歌えなくなって、絶望して、立ち止まって。
だけど、その分零やみんなとの絆は前よりも強くなった気がする。
「じゃあ、早速打ち合わせ始めよう!」
そう言って、わたしたちはチームLilaとして、復帰の日についての準備を始めた。