【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
ご飯を食べ終わり、お風呂に入ったあと、わたしたちは2人で一緒のベッドに入った。
零の腕の中がいつの間にかわたしの一番安らげる場所になってる。
零に髪を撫でられながら目を閉じると、不意に山岸さんが電話で言ってた「話」が頭に浮かんだ。
「わたしね、もしかしたらアーティスト引退しろって言われるかも」
「え…」
目を見開いてわたしを見る零。
そうだよね。わたしがどれほど歌に全力を注いでいたのか、零はよく知ってるから。
「でも、最近こんなふうに零と一緒に暮らして、料理を作って帰りを待つ普通の生活をしていたら、こんな人生もいいなって思えてきたんだ。」
「リラ…」
「だから、どんな未来になってもわたしは大丈夫。
零が一緒にいてくれたら、怖いものなんてないよ」
そう言って笑うと、零はわたしの髪を撫でながらわたしの唇に優しくキスをした。
「僕も、リラがそばにいてくれたらそれだけで何もかも頑張れる気がする」
「同じだね」
そう言って2人で顔を見合わせて笑った。
明日の山岸さんの話、わたしが予想していたものはたくさんあるけれど、
そのどれでもなかった。
わたしがアーティスト活動を引退しろと言われるよりも聞きたくない話だってこと、このときはまだ知るよしもなかった。
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