【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第25章 わたしのじゃ無い良い匂い
安室side
朝、味噌汁の匂いが僕の鼻をくすぐる。
「ん…」
目を擦りながら隣にいるはずのリラを抱き寄せようとするが、そこにはもうリラの姿がなかった。
「リラ…?!」
僕は慌てて自分の身体を起こし、リラの姿を探した。
けれど寝室には見当たらない。
一体どこに…?
ベッドから飛び出した僕は、寝室とLDKに繋がる扉を開けた。
「リラ!?」
「はぁーい?」
すると、キッチンの方から僕の大好きなリラの声が聞こえたと思えば、パタパタとスリッパの音を鳴らし、ひょこっと僕の方へ顔を見せるリラ。
「どうしたの?」
「どうしたって…朝起きて、隣にいないから…」
リラがいた安堵感と、さっきまでの不安な気持ちが拭えず、複雑な表情をしていると、リラは僕の口に何かを放り込んできた。
「んっ!?」
「朝ごはんとお弁当つくってたの!」
思わずそれを噛むと、どうやら卵焼きらしい。
ダイニングテーブルを見ると、白米、味噌汁に卵焼き、焼き鮭というザ朝ご飯なラインナップが並んでいる。
「これ、リラが作ったのか?」
「そうだよ?
仕事お休みしてる間は、家のこと全部やろうと思って。
朝から、頑張って作ったの」
そう言いながら、リラは嬉しそうに笑った。