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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第23章 The Little Mermaid ☆




零の腕枕で微睡んでいると、わたしのおでこにキスをしながら零が言った。


「リラ、引っ越そうか。」

「え…?」


突然発せられたこの提案に、わたしは思わず目を丸くして零を見る。


「リラのマンションも、ここも引き払って、僕とリラの家に引っ越そう。
ふたりの家に。」

「ほんとに?」

「嘘つくと思う?」


わたしの問に、零は優しく笑いながらわたしの髪を撫でて言った。

この家は、わたしにとっては安室さんの家。
いわばわたしは、居候というか転がり込んでるだけというか…

引っ越して二人の家、すなわちわたしの家が零の家になる。
わたしの帰る場所が零との家になる。

それがとてつもなく嬉しくて、わたしの目からまた涙が溢れた。


「…嬉しい。わたしの帰る家を作ってくれるんだね」


おかしいな。
わたしはどちらかというと、泣かない強い人間だと思ってた。
今までどんなにライブで感動しても、ファンに嬉しいことを言われても
達成感を味わっても、涙をこぼすことは稀だったのに。

零と一緒に過ごしていると、わたしは途端に涙もろくなる。


「リラ。きっとすぐにまた歌えるようになるよ。」


そう言って零はわたしの髪を撫でた。

零が大丈夫と言うと、本当に大丈夫な気がして、わたしは零の身体に寄り添ったままゆっくりと目を閉じた。

こうしてわたしの歌声は、


泡となって消えた…


まるで、恋を知って声を奪われた人魚姫のように



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