【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第21章 君は僕のもの
やり場のない思いを抱えながら原作の漫画を読み進めていると、玄関のドアが開く音がした。
ふと時計を見るともう24時。
仕事を終えたリラが帰宅したようだ。
「ただいまー。疲れたあ!」
「…おかえり」
いつもなら、おかえりと言いながら力いっぱい抱きしめてあげるのに、僕は必死に笑顔を作りなが、かろうじておかえりと言った。
リラはそんな僕を不思議そうに見ながら言う。
「どうしたの?元気ないね」
おかしいな。
僕の長所はいついかなる時もポーカーフェイスを貫くことなのに、リラの前では無効らしい。
元気がない原因は、君なんだよ…
そう思いながらどう返事をしようか迷っていると、リラが僕の身体をギュッと抱きしめた。
「零はいつも完璧だから、たまには一息ついていいんだよ?」
自分だって、いつも全力のくせに。
リラのほうが今まで仕事をして疲れているのに、僕を心配して癒そうとしてくれる。
それなのに、僕は今それを素直に喜べない。
僕は自分が思っている以上に、ずっと子供だったみたいだ。