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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第21章 君は僕のもの




そうか。今まで特に意識したことはなかったけど、リラはドラマや映画に出演することもあるのか。
アーティストだからてっきり歌だけが仕事だとばかり思っていたが…

となれば、TVで僕の彼女とよく知らない男がキスをしているシーンを見なければ行けないということか!?


普通に考えたらあり得ないこの展開も、自分の彼女が芸能人であればあり得てしまう不条理…

僕は思わずリラにLINEを送った。


「今撮影中のドラマって、どんなの?」


しばらく既読すらつかない。

当たり前だ。
今日は朝から雑誌のインタビュー、そのあとは夜までドラマの撮影だと言っていた。

売れっ子の彼女は今日僕が起きた時には既に仕事に出掛けていた。


仕事だって分かってる。
今更、ここで嫉妬しても明日からドラマが始まるのは変わりないし、今日の撮影も滞りなく進むんだろう。

分かってるのに、…腹が立つ。

必死に笑顔を作って接客をしながら、胸中は全く穏やかではない。


「安室さんも読んでくださいよ!
あ、もしかしてもうLilaさんから全巻借りてたりします?」


園子さんが目を輝かせながらそんなことを言ってくるけれど、僕は半分引きつった笑顔で返す。


「いや?でも僕は興味ないから。
結構ですよ」


興味がないなんて、大嘘もいいところだ。
だけどここで、必死な形相で園子さんに漫画を借りるのは全く僕らしくない。

見栄を張ったくせに、僕は即座にスマホを取り出し、iTuensStoreから例の漫画本を検索すると、全巻一気にダウンロードを開始した。

ひとまず、今日帰宅したら読んでみよう。

純愛モノって言っているし、案外バッドエンドで終わるのかもしれないしな。
キスシーンすらないかもしれない。

キスシーンがないラブストーリーなんてあり得るのか?と自分自身にツッコミを入れながらも、そう思いたい僕は今日のポアロの仕事は全くと言っていいほど集中できなかった。



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