【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第18章 Love song
今日は事務所で新曲の打ち合わせだ。
初めて零に向けて作った曲。
それが、ニューシングルとして来月に配信、発売される。
レコーディングはもう済ませていて、後はジャケット撮影とプロモーションを残すのみ。
そのことで、事務所の会議室にはプロデューサーやカメラマンが集まり、ジャケットのコンセプトを話し合っていた。
「やっぱり話題性は欲しいですよね。
曲の内容が、壊れそうなほど繊細な愛の歌。というイメージなので、誰かと小指を絡めて手を繋いでるところとかどうでしょう?」
「うーーん…」
プロデューサーの提案に、わたしは首を傾げながら言う。
「話題性には欠けるかな…」
と言っても、特にこれと言って良い案もないな…
どうしたものか。と、その場にいた面々がうーんと考え込んだ中、山岸さんが唐突に突飛なアイディアを繰り出す。
「Lilaの、現彼氏に協力してもらうのはどうでしょう?」
「えっ!あ、安室さんに?!
一般人だよ?」
一般人というか、もはや警察官。
公務員なんですけど!!
とは流石に言えないまでも、その案に容易に乗るわけには…
と、どうにか言い訳を考えようとするけれど、山岸さんはケロッとした顔で言う。
「うん。顔を映さなければ問題無いと思うし、多分、Lilaの相手役は誰?!って話題になると思うよ。
曲ができた背景も加味したら、尚更」
パッと見は頼りなさげな山岸さんだけど、こういう時に謎の起点を利かせてくる。
プロデューサーや他のスタッフは、満場一致で山岸さんの意見に賛成だ。
「いいね!
ジャケットのパターン2種類用意して、
それぞれ意味深に顔を写らないようなアングルで撮影しよう。」
「ちょ、ちょっと待って。
彼に聞いてみないと…」
それに、なんだか安室さんをわたしのプロモーション行為に利用しているような気分になって、あまり乗り気じゃないわたし。
一度持ち帰って確認してから、確定ということになった。