【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第15章 世界で一番幸せな朝を ☆
ボイトレが終わって、スタジオの一室でギターを弾きながら新しい曲を作った。
わずが2時間で書き出した歌詞に、音をつける作業だ。
この曲は零のことを思って作った曲。
零と出会って、恋をして、
付き合って、でも気持ちがすれ違って、
疑心暗鬼になって、不安になって
だけどこの先もずっと零と一緒にいたいと思う。
今の自分の素直な気持ちを全部歌詞に乗せた。
わたしにしては、珍しいぐらい愛に溢れた曲だ。
夢中で音をつけていると、気付いたらもう夜の22時。
スタジオをそろそろ閉めるとスタッフに言われ、わたしは慌ててギターとPCを仕舞い、スタジオを出た。
タクシー捕まえようかな。
そう思いながらエントランスを潜ると、目の前に白のRX-7が止まってた。
まるで、零と付き合った日みたいで、思わず胸が高鳴った。
運転席から降りてきた零は、わたしに呆れながら言う。
「こんなに遅くなるなら、迎えにきてって言ってくださいよ」
「だ、だって安室さん忙しいでしょ?」
「僕は、君の彼氏なんですけど」
ぽんっと頭に手を乗せながら、わたしの目線に合わせるまで屈み、安室さんがわたしの瞳を覗く。
「うん…彼氏だね」
「分かればよろしい。
…帰ろう?」
差し出された零の手を握った。
これから、2人でどんな時間を過ごしていくんだろう。
零と一緒に今日を終えるのが楽しみで、
零と一緒に明日を迎えるのが楽しみで、
ただこんな幸せがずっと続きます様にと願った。
ひだまりみたいなこの日々が
いつまでもずっと続きます様に。
願わくば、零の最後の彼女になりたい。
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