【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第3章 金髪のボディーガード
「毛利先生ー。お客さんですよ」
安室さんは、少しも躊躇うことなく毛利探偵事務所のドアを開けた。
まるで、自分の家みたいに入って行くじゃん…
そう思いながらも、わたしは安室さんの後ろからひょこっと顔を出した。
そのわたしの顔を見て、事務所にいた毛利探偵と高校生の制服を着た娘さん?らしき女の子が目を見開いてわたしを指差す。
「え!!!Lila!!?」
「な、なんであのプリティーな歌姫がここに?!!」
「何よー!お父さんこないだはヨーコちゃんが負けて文句言ってたじゃない!」
「バーロォ!こんな麗しい歌姫が来てんだぞ?!
馬鹿言ってないではやく茶淹れろ!」
目の前で繰り広げられる何とも平和な親子喧嘩にわたしは思わずふふっと笑ってしまった。
だって探偵事務所ってどんなところかと思ったら、こんなにアットホームなんだもん。
「ささ、どうぞ!お座りください!」
腰をものすごく低くした毛利探偵にそう言われ、わたしは応接用のソファーに腰掛けた。
「で、何か事件ですか?」
さっきまでおちゃらけていた毛利探偵は、突然仕事モードな真剣な顔で聞いてくる。
「…事件…というか。
実は、ストーカー被害に遭ってまして…」
「こんっな美しい女性を怖がらせるなんて!
私が成敗して差し上げましょう!」
「お父さん!話の腰折らないでよ!」
娘さんにどやされて、毛利探偵はまた襟を正しながらわたしに質問する。
「わーってるよ…で、具体的にはどう言った被害が…」
「…先月ぐらいから、自宅の郵便受けにこんな手紙が届くようになって…」
そう言って、これまで受け取ってきた手紙を出した。
「手紙以外にも、空腹で帰ったらコンビニで買った食べ物が入ってたり、声が枯れてたらのど飴が入ってたり…」
「こ、怖い…」
わたしの話を聞きながら、娘さんは口元に手を当ててゾッとしたような顔をした。
「あと、今日、テレビ局の楽屋のロッカーにこんな写真が…」