【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
「…まだ、景のことが好き?」
「え…」
「前に一度、リラが寝言でヒロと呼んでた。
そのとき、ヒロって誰?と聞くと、好きな人って答えていたから」
降谷さんが寄りかかったわたしの髪を撫でながらそんなことを聞いてきた。
「好きになる気持ち、わかるよ。
僕もあいつが大好きだった。
変な意味じゃなくて、友人として本当に大切だった。」
わかるよ。なんて言いながら、どうしてそんなに苦しそうな声で話すの…?
わたしのせいだね。
わたしが、ずっとヒロのこと話さなかったから、ヒロがわたしを想ってくれてたと知って涙を浮かべたりするから。
もう比べものにならないぐらい、降谷さんに恋をしてるのに。
「ヒロのこと、ずっと好きだった。
どんな人と付き合っても、いつも、俺のこと好きじゃないだろ?って振られてた。
でも…安室さん…あ、降谷さん」
「安室さんでいいよ」
「…安室さんと一緒に住むことになって、一緒にいて、安室さんの優しさとか温かさに触れて…
安室さんのこと考えたら胸が苦しくて、気付いたときには大好きになってた。」
「…良かった」
「好きだよ、安室さんでも降谷さんでも、変わらないよ。
大好き…」
じっと目を見てそう言うと、降谷さんはわたしの頬に手を添えた。
そして、ゆっくり顔を近づけて笑う。
「僕も。大好きだ…」
そして
唇が重なる数センチ前
「っ…うううっ…良い話ですねぇ…」
車を運転しながら黙ってわたしたちの話を聞いていた風見さんが突然泣き出す。
降谷さんはわたしにキスするのを止めて、はぁーっと風見さんを睨みながら言った。
「風見がいるの忘れてたよ」
「純愛とはまさにこのことですねぇ…
降谷さん、一生ついていきます!」
「…いいから、前見て運転してくれ…」
わたしも風見さんがいることをすっかり忘れていて、降谷さんに言った言葉全部聞かれてたと思うと顔から火が出るほど恥ずかしく、家に到着するまで風見さんの顔を見れずにずっと顔を両手で覆ってた。
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