【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第11章 前の彼女 ☆
「Lilaーいいね。次は目線ちょうだい」
カシャ…
眩しいストロボが何度も光るスタジオの中、わたしは白い背景の前でカメラを見つめる。
今日は雑誌 anan の表紙&巻頭グラビア撮影。
次号のテーマは「今欲しいものは、おしゃれ美乳」
らしく、下着姿に彼氏サイズのグレーのカーディガンというセクシーな衣装に、メイクはいつもよりチークをまるくぽわっと入れてもらった。
カーディガンをざっくり羽織り、肩を露出させてポーズを取ると、カメラマンからさらに要求が飛ぶ。
「Lilaーもう少し、とろんとした目をちょうだいー。
カメラを、彼氏だと思って」
調子のいいカメラマンさんにそんな注文をされ、わたしは思わずカメラの向こうに安室さんを見た。
「うわー!良いね!可愛い!!」
その瞬間、カシャカシャと尋常じゃないぐらいのシャッターが落ちる。
安室さんと付き合いだして、2週間が過ぎた。
安室さんはとても忙しい人みたいで、
一晩帰ってこないこともしばしばある。
わたしはわたしで、夜中まで番組の撮影とか、レコーディングとかで毎日忙しくしている。
これは一緒に住んでなかったら全然会えて無いな…そう思うほど多忙な2人だ。
安室さんは、わたしがどれだけ遅くなっても、
明日朝早くても、必ずわたしが帰って来るまで起きていてくれる。
そして、二人で抱きしめあって眠るのが日課になっている。
幸せ…幸せすぎて怖いぐらい。
「はい!オッケー!
モニターチェックしてねー」
カメラマンからOKが降り、ムーディーなライトが当てられた撮影ブースの中からPCが置いてある方へ移動し、今のフォトをチェックする。
そこに写っていた自分の顔を見て思った。
わたし、安室さんのことを考える時、こんなにとろけた顔してるんだ…
安室さんに触られてる間、こんな顔して彼を見つめてたの…?
いかに、自分が安室さんを好きかが客観的に見てとれて、わたしはまた思わず顔を覆った。
そんなわたしの肩を誰かが叩いた。
「?」