第131章 怒りのクグラ
ある日クグラはとても怒っていた。なかなか珍しい光景である。
「…ねぇ、クグラ?どうしたの?今朝から何を怒ってんのよ??」
クグラ「自分でよく考えてみろよ!」
そう言うと怒ったままクグラは部屋を出て行く。
イナミ「ウルキ…私、パパがママに怒ってるとこ初めて見た。」
ウルキ「僕も…。ママがパパに怒る事はよくあるのにね。」
最近ウルキは自分を僕と呼ぶようになったのである。少し成長しました。
「考えろったってなぁ…。お兄ちゃんにでも聞いてみるかな。」
涼子はエトの部屋へ行く。
「お兄ちゃん…ちょっと聞きたい事があるんだけど…。」
エト「涼子か。どうしたんだ??」
「あのね、クグラが今朝からずっと怒っててね…。」
エト「あぁ、さっき会った時『俺は拗ねてます!』って顔してたな。」
「どうして怒ってるのか分からないのよ。聞いても自分で考えろとか言っちゃってさ〜。」
エト「昨日何かなかったか??」
「う〜ん…特に何もなかったよ?朝寝坊したから急いで子供らとクグラの朝ご飯を侍女さん達にお願いしてカグツチで依頼のあったお祓いの仕事に行って、昼頃にお祓い終わって依頼者のお宅でお昼ご飯ご馳走になって、その後はフヨウさんのとこ寄ってお喋りして…帰ったら子供達のお風呂と夕飯の支度して…それからクグラが帰ってきてみんなで夕飯食べて、私は子供らとお風呂済ませちゃったからクグラ一人でお風呂入ってもらって、その間になんか疲れて寝ちゃったって感じかな。」
エト「……まさかとは思うがお風呂一人だったから拗ねてるんじゃないか?」
「まさか〜…でも、クグラならありえなくもないか。」
そんなこんな話しているとクグラがやって来る。
クグラ「兄さんちょっとい……やっぱ出直す。」
涼子の姿を見るなり逃げようとするが手首を掴まれる。
「ちょっと!あんた今朝から何なのよ!?一人で怒っちゃって!」
クグラ「…自分で考えろって言ったろ!」
「分かんないっての!」
クグラ「なんだよ!夫婦なのに俺の気持ち分からねぇのかよ!?」
エト「クグラ…夫婦だって人同士なんだから何もかも分かるわけないだろ?ちゃんと話さないと。涼子とずっとこのままでもいいのか?」
クグラ「…涼子が悪いんだ!約束忘れるから!」
「約束?」
クグラ「何の約束かも分からないのかよ!」
11歳の姿でクグラはいじける。
