第84章 すすり泣き事件
クグラ「涼子〜!!ん?みんなで何してるんだ??」
「あっ!クグラ!お帰りなさい!」
ヒルハ「クグラ様お疲れ様です。最近城内のあらゆる所で男のすすり泣きが聞こえまして…霊じゃないかと涼子様に相談していたのです。」
クグラ「あぁ…すすり泣きね…。」
「ん?クグラ何か知ってるの??」
クグラ「いや…そういうわけではねぇんだけどさ。で?霊だったのか??」
「それが全然そういう霊の気配なくてね〜。たぶん霊は無関係で人間のすすり泣きだと思うのよ。」
クグラ「そうか…まぁ、また聞こえた時にどうするか考えればいいんじゃねぇか?門番が通さないと城には入れないんだが不審者って線も薄いだろうし…。」
「え〜…でもなんか気になるんだよなぁ。」
ヒルハ「ヒルハも気になります!」
クグラ「気にするなって!あんま気にしてっとハゲるぞ?さっ!涼子、部屋に戻ろう!」
クグラは強引に話を終わらせて涼子と部屋へ帰っていった。
そして数日間、すすり泣きを聞く者はいなかった。
ある日の夜中、寝所で涼子がたまたま目を覚ますと横に居るはずのクグラが居なかった。
「…クグラ?いつも一回寝たら余程のことがない限り朝まで起きないのに…。」
涼子は寝室から出てクグラを探してみるが部屋には居ないようだ。そして廊下へ出てみると遠くからすすり泣きが聞こえた。
「ん?……みんなが言ってたのはこれのことか?…お兄ちゃんの部屋の方??」
涼子はエトの部屋へ向かう。するとさっきよりはっきりとすすり泣きが聞こえた。そしてこっそり部屋を覗いた。
クグラ「っ…ぐずっ…うっ…うっ…。」
エト「うっ…ぐずっ…うぅ〜…。」
クグラ「うっ…コイツ可哀想だよな…うっ…。」
エト「あぁ…うっ…自分達と…重ねてしまう…。」
「………ねぇ、すすり泣き事件の犯人はあんたらだったわけ?」
クグラ「…涼子!?」
エト「なぜここに!?」
二人はある物を慌てて隠した。
「たまたま目を覚ましたらクグラがいないんだもん。普段余程のことない限り目を覚まさないのにどうしたのかと思って探してみたらお兄ちゃんの部屋の方からすすり泣きが聞こえたのよ。何をしてたの??」
クグラ「いや……。」
エト「大したことではない…。」