夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第1章 恋人同士とは(i7)完
同じ大学に通う壮五と私は、どこにでもいるような普通の間柄だった。
学校が同じなのはたまたまで、私は学びたい事があって普通に大学に通ってた。
壮五は自分の事をあまり話さないけど、多分私と同じようなものだと思う。
一度、私が授業を遅刻しちゃって、たまたま隣の席に壮五が座ってて。
たまたまノートを見せてくれて。
で、ありがとう助かったって私が頭下げたら、全然構わないですよって言われて。
こんな爽やかな青年が居たら、女の子は放っておかないだろうな、なんて思ってた。
実際は、壮五に恋人なんて居なかったわけだけど。
そんな衝撃の事実を、一緒に学食食べながら本人の口から聞かされて。
じゃあもしも、という話を私が始めた。
「あそこで座ってるお団子の女の子と、あっちで座ってるスカジャンの男の子が、もし恋人同士だったらとか、考えたりする?」
「また急な話をするね、香住さんは」
「もしもの話! 考えてみてよ。私の暇つぶしに付き合って!」
多分私は、壮五をちょっといやかなり、困らせていると思う。
でも好奇心には勝てなくて。
こういう爽やかイケメンはどんな恋愛観を持ってるんだろうって、気になって気になって、つい。
その辺で別々に座ってるけど、一緒に話してるところはよく見かける男女を指さした。
私のわがままに、壮五はとても真摯になって考えてくれているようで。
「他人の事をあれこれ詮索するのは、あまり褒められる事じゃないんじゃないかな?」
頬杖をついて気楽に聞いてたら、ズッコケそうになった。
真面目か!
「面白くないなー。じゃあ他人事じゃなかったら考えるの?」
スプーンを咥えて聞き返す。
「そうだね」
と、壮五。
「じゃあ例えば・・・」
咥えていたスプーンをトレイの上に置いて、右手の人差し指を自分に向けた。
「私と壮五だったら!」
聞いた瞬間、壮五は口をつけていたグラスを離して、咳き込んでしまう。
「え、ちょっと大丈夫?」
どうやらむせてしまったらしい壮五の背中を叩いてやると、すぐに治まった。
「なんか、ごめん?」
とりあえず謝る。
「いや、良いんだ。でも、そうだね。考えない事は無かったかな。僕たち気が合うし。でも、やっぱり無いかな」
「どっちよ、それ。変なの」
壮五の答えを聞いて、思わず吹き出しそうになる。
でも、ちょっと安心したな。