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私ただの執事でございます!

第4章 第四章音楽の申し子




「やったわ龍!アンタの専属が決まったわよ!」


朝一番で興奮気味の姉鷺さんの声で、事務所で寛ぐ三人は首をかしげた。

「専属?」

「やぁね!あの人気ブランドスーツの専属モデルよ!倍率がすごくて星影プロダクションのタレントだって専属取るのが難しいって言われるノワールよ!」

「ノワールってあの大手ブランドの?すげぇじゃねぇか」

これまで多くのモデルをこなしていたが、専属モデルを獲得した事はなかったのか、姉鷺さんの興奮は何時も以上だった。


「ノワールの社長がOceanのシャンプーの愛用しているらしいんだけど、そのCMに出ているアンタを見て、即決めたらしいわよ」

CMを成功させてから十さんは今までとは異なり仕事が増えだした。

今までエロを重視したイメージで売っていたが、深山鯛の魅力あふれる男性のイメージで売り出すようになった。

勿論エロもあるけど、内面のセクシーさを前に出したことで40代、50代のおば様のファンを獲得した。

「グッズの売りも倍よ」

「はやり、若い盛大よりもお金を落としてくれる盛大を標的にする方が利益になりますからね」

「出やがった!」

「人をボウフラのように言わないで欲しいですね。十さん、今日も貴方に貢物です」

「やめてよね、そういう言い方」

九条さんの言葉はあえてスルーしてファンからの贈り物を差し出す。


「これ全部?」

「大阪の奥様方から熱烈な贈り物が届いています」

段ボールに敷き詰められたのは、これまでのファンレターとは異なり、手作りの人形やあみぐみだった。

「あ、野菜もある」

「農家のおばあ様方からでしょうね」

「どうするのよこれ」

今まではお菓子やファンレターが多かったので、困り果てるも。

「美味しいよ」

「って、食うのかよ!」

「龍、君ね…」

ゴーヤを豪快に食べる十さんには少し心配になる。

もう少しだけ、警戒心を持つべきだと思うのだけど。

「まぁ、害はないからいんじゃないですか。あ、美味しい」

「だよね!」

「お前もかよ!」


一緒にゴーヤを食べると、この苦みが最高に美味しい。

なんだか思い出すな。
彼等をプロデュースしていた頃、よくファンから野菜を貰った事があるんだよな。

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