第56章 ホグズミード村
十月になると、ハリーは週に三回のクィディッチの夜間練習が始まった。今年こそは優勝するぞと、クィディッチチームからは並々ならぬ闘志に燃えていた。その理由は、クィディッチのキャプテンをしているウッドが、今年で最後になるからだった。
ハリーも今年こそは優勝するんだと意気込みを見て、ミラも精一杯応援すると伝えた。何より、ずっと暗い顔をしていたハリーが、クィディッチの練習を始めてから楽しそうに見えたことにミラは内心ホッとしていた。
しかし、二週間ほどしてそれはガラリと変わった。
ちょうどハリーがクィディッチの練習で談話室を抜けていた時、ミラ、ロン、ハーマイオニーは暖炉の近くの特等席で、天文学の星座図の宿題をしている時だった。マクゴナガル先生が『第一回目のホグズミード週末』のお知らせを持ってやってきた。
「今年はハロウィーンの日に決まりました。許可証を出してない者は、後日私に出すように」
マクゴナガル先生はくたびれた古い掲示板に張り紙を貼り付けると、談話室を出て行ってしまった。ミラは胃の奥がヒヤリと冷えた。せっかくハリーが元気になってきたのに、このことを聞いたハリーがどう思うか----ミラはトランクの奥に仕舞ったホグズミード行きの許可証を思い出した。
案の定、クィディッチの練習から帰ってきたハリーが目に見えて落ち込むのが見えた。
「ハリー、この次にはきっと行けるわ。ブラックはすぐ捕まるに決まってる。一度は目撃されてるし」
ハリーの気持ちを察したハーマイオニーがそう言った。
「ホグズミードで何かやらかすほど、ブラックは馬鹿じゃない。ハリー、マクゴナガル先生に聞けよ。行っていいかって。次なんて永遠に来ないぜ----」
「ロン!ハリーは、学校内に居なきゃいけないのよ----」
「でもハーマイオニー、ハリーだけ残して行くなんて…」
「そうだよ!ミラの言う通りだ!マクゴナガル先生に聞くんだ、ハリー、やれよ----」
「うん、やってみる」
ハーマイオニーが何か言おうと口を開けた時、クルックシャンクスが軽やかに膝に飛び乗った。しかも大きな蜘蛛の死骸を咥えて。