第55章 暗闇でも見つけて
ドラコの姿が見えなくなってからミラも城へ戻った。城の入り口に着くと、ネビルが壁に背をもたれているのを見つけた。
「ネビル、まだいたの?」
「…あ、ミラ!大丈夫だった?意地悪とかされてない?」
ネビルは心配そうにミラに怪我がないか、目が忙しく動いていた。
「何にもされてないよ。ちょっと話しをしただけ」
「ほ、本当? だって、マルフォイだし…弱みとか握られてるの?」
「何にも握られてない。本当に大丈夫」
「それなら…そっか、うん、よかった…」
ネビルは大きなため息を吐いた。ミラはネビルが本当に自分を心配してくれていたことにむず痒さを覚えながらも、自分がネビルの記憶を一部消そうとしたことに罪悪感を覚えた。
(こんなに心配してくれたのに、私は…)
「ネビル、さっきはごめん。それに----あの呪文のことも…」
ネビルは顔を硬らせた。
「何も知らないくせにっていってごめん…私の方こそネビルの両親のこと、知らなかった」
「…いいんだ、僕も誰にも言ってないし…知ってる人はいると思うけど」
二人は黙り込んだ。
「私は…」
ミラはネビルになんと言えばいいのか詰まった。
「私は----正直、気持ちは変わってない」
「そんな…!」
ネビルの声は震えていた。否定したいのに、どうすればいいのか分からない――そんな表情だった。
「でも、ちゃんと考える----この呪文を使いそうな時、ネビルのことを思い出す----今はそうとしか言えない」
「…」
ネビルはぎゅっと拳を握りしめたまま、しばらく黙り込んだ。
それから、意を決したように顔を上げた。