第54章 死にたがりの囁き
「っ…ミラ…?」
冷え切ったミラのアメジスト色の瞳を見た二人は、ヤバいと脳内で思った時には、ミラはテーブルにあった水差しを掴んでいた。ハーマイオニーが止める前に、ミラは躊躇いもなく二人に水を思い切りぶちまけた。
「キャア!!!」
水に濡れたパーバティとラベンダーはショックを受けた顔をしていた。騒がしかった大広間も、シンと静まり返って、みんながミラたちを見ていた。
ミラは息を整え、冷ややかに言った。
「運命?冗談はそのインチキ臭い占いだけにしろよ」
その声は今まで聞いた中で低く、怒りを滲ませていた。二人が目を瞬く間に、ミラは続けた。
「トレローニー先生に教わった?じゃあ次はこう占ってみたらどうだ?--“明日、自分に何か不吉なことが起きるかどうか”」
パーバティの顔から血の気が引いた。ラベンダーは口を開けたまま、何も言えない。ミラは小さく鼻で笑った。
「アイツがどんな奴かも知らないでよく恋だの運命だの、吐き気がする」
「ミラ、もうその辺で----」
と、ハリーが小声で言ったが、その声は届かなかった。
「二度と話しかけるな」
パーバティもラベンダーも、ただ呆然とミラを見ていた。
ミラはふんっと鼻を鳴らし、背筋を伸ばして二人の横を通り抜けた。足音が大広間に響き、扉が閉まる音がやけに重く響いた