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【HP】怪鳥の子

第53章 潜む闇


 そう言って、まずは杖なしで呪文の練習をした後、ルーピン先生はネビルを指定した。ルーピン先生はネビルに優しく、丁寧に話を聞き取り、箪笥に潜んでいるボガートがスネイプ先生の姿で現れたら、ネビルの祖母の服を想像すること。すると、上手くいけばボガートのスネイプ先生は、天辺にハゲタカの付いた帽子を被って、緑のドレスを着て、赤いハンドバッグを持った姿になるとルーピン先生が言うと、みんな大爆笑した。

 しかし、ミラだけは「ははは」と、みんなに合わせたような笑い方をしていた。まだボガートが箪笥から出て来てもいないのに、ミラの手のひらは汗ばんでいた。ボガートは姿を変える、それも見る人の一番の恐怖に。

 ミラは一瞬トム・リドルを思い浮かべたが、怖いという感情はなかった。

 すると、いったい自分は何に恐怖しているのだろうかと不安がよぎった。怖いものがわからない、それが余計にミラの恐怖を煽った。

 気がつくと、ネビルが杖を構えて洋箪笥と向かい合っていた。ルーピン先生の合図で洋箪笥が開くと、教室を出ていったスネイプ先生と一寸の違いもない、スネイプ先生が現れた。

「リ、リ、リディクラス!」

 パチンと鞭を鳴らす様な音がすると、スネイプ先生がつまづいた。

 すると、スネイプ先生はルーピン先生の言った通りの、ネビルの祖母の服をきたスネイプ先生になっていた。どっと笑い声が上がると、おかしな格好をしたボガートのスネイプ先生は途方にくれて立ち止まってしまった。ルーピン生生は次に、パーバティを指名した。

 パーバティを見たボガートは血塗れの包帯をぐるぐる巻いたミイラが現れると、パーバティは呪文を唱えて、ミイラの包帯をバラけさせ、足に絡ませて頭から転がり落とした。

 バンシー(女妖精)、ネズミ、ガラガラ蛇、血走った目玉、切断された手首、そしてついにロンの番になると、毛むくじゃらの二メートルもありそうな大蜘蛛が現れた。ロンが呪文を唱えると、蜘蛛の足が消え、ドスンと鈍い音をたてて床に落ちた。


「ミラ、君の番だ」

 ミラは僅かに肩をすくめて、四肢のない蜘蛛の前に歩み出た。ボガートはミラの姿を捉えると、くるんと一回転して姿を変えた。目の前に現れたのは----。
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