第8章 真夜中の決闘
あの後、飛行訓練は静かに再開した。ドラコは始終ミラを警戒して睨んでいたが、ミラは知らんぷりを決め込んで、ハーマイオニーの飛行を手伝った。
ハリーの心配をしつつも、ミラとロンは大広間でハリーを待っていると、大広間に現れたハリーはケロりとした顔でやってきたことに、二人は顔を合わせた。
「ミラ、ロン!僕、クィディッチのシーカーに選ばれたんだ!」
「まさか」
ロンはステーキ・キドニーパイを口に入れようとしたところだったが、そんなことはすっかり忘れて叫んだ。ミラも両手に持っていたフォークとナイフは少し前から動かしていなかった。
「シーカーだって?だけど、一年生は絶対ダメだって…それじゃ、君は最年少の寮代表選手だよ。ここ何年来かな…」
「百年振りだってウッドが、そう言ってたよ」
と、言って、ハリーはパイを掻き込むように食べた。
「おめでとう、ハリー!まさかシーカーに選ばれるなんて思いつきもしなかったよ!」
「もし君が退学になったら、ミラが君をヤマアラシにして飼おうって話してたんだ」
「ぼくが、なんだって?」
「ハリー!こっちの糖蜜パイも美味しいよ!」
ミラはテーブルに並べられた糖蜜パイをハリーのお皿に入れた。
「君がマクゴナガル先生に連れてかれた後、ミラがマルフォイに呪いをかけそうだったんだ。君が前にミラを怒らせない方がいいって言った意味がわかったよ」
「ロン、いつでも呪われてもいい覚悟があるなら続けていいよ」
「ミラ…なんとなくわかった気がするから落ち着いて」
ロンはミラに言われたことなど気にせず、ハリーがシーカーになったことに感動して呆然とハリーを見つめていた。ハリーは杖を取り出したミラを宥めた。
「あんな奴のために君が罰則を受けることないよ」
「ごめん、ハリー…でもどうしても許せなかったんだ」
「どんな呪いをかけようとしたの?」
「ナメクジを吐き出させるか、オデキだらけの顔にする呪い」
「じゃあ今度、僕がいる時にやってみせて」
ハリーはニヤッと笑ってみせると、ミラは目をキラキラさせて大きく頷いた。
「さすがは我が友、ハリー!」
大袈裟にミラは手を広げ、ハリーに飛びついた。