第7章 飛行訓練
ドラコからハーマイオニーに視線を移すと、彼女は震えてはいたが、しっかりと自分の目を見て「やめて!」と訴えかけてきた。ミラはハーマイオニーが言った「マクゴナガル先生が悲しむ」と言ったことに反応し、怒りで我を忘れていることに気が付いた。
杖を突きつけているドラコをみると、ドラコの顔はいつもより蒼白で、怯える目で自分を見ていた。
「…そうだね、ハーマイオニー…」
途端に、自分の中でスッと熱が引くのがわかると、ミラは杖を下ろした。杖が自分に向いてないとわかると、ドラコはクラッブとゴイルを押しのけて後ろへ後退した。
「ふ、ふん、とんだ腰抜けだな!いくぞお前ら!」
ドラコは自分の首を押さえながら、二人を引き連れてさっさと元いた授業の場所へ戻って行った。それに引かれてスリザリンの生徒達も付いていった。
ハーマイオニーがやっとミラの腕から手を離すと、ミラは杖をポケットの中にしまった。
「あーあ、あいつのナメクジ吐くところ見たかった」
ロンは残念そうに言った。
「わたしも。でもハーマイオニーの言う通り、まだハリーが退学になったかわからない…フレッドとジョージにもっといい呪いがないか聞いてみよう!」
「名案だ!」
「ロン!ミラ!」
「おっと、ごめん。君がまだ近くにいるってこと忘れてたよ」
ミラはわざと驚いた振りをして、ヘラりとハーマイオニーに笑ってみせたが、逆にもっと腹を立てた彼女はツンっと首を振って立ち去ってしまった。
「もしハリーが退学になったら、ヤマアラシに変身させてペットにするってのはどう?」
ミラはいい事を思いついたと言わんばかりにロンに言った。
「なんでヤマアラシなんだ?」
「さぁ…なんとなく。今思いついたんだ」
「悪くはないと思うけど…」
ロンは言葉を濁しながら、ヤマアラシに変わってしまったハリーを想像すると、トゲが自分に刺さって痛そうだと思うと素直に頷けなかった。