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【HP】怪鳥の子

第49章 吸魂鬼(ディメンター)


 クルックシャンクスは、お世辞にも可愛い猫とは思えなかった。赤みがかったオレンジ色の毛がたっぷりとしてフワフワな毛は柔らかそうだが、どう見てもガニ股で、特に顔はレンガの壁に正面衝突したような気難しい潰れた顔をしていた。しかし、ハーマイオニーが「素敵な猫でしょ?」と言えば、ミラは黙ってぎこちなく微笑むことしかできなかった。ペットショップでロンのペット、スキャバーズを襲ったことでロンは機嫌が悪く、ミラも今はいないが、ハグリッドに預けている蛇のエインが心配になった。エインとクルックシャンクスが女子寮で一緒になることは避けて通れないが、喧嘩だけはしないでくれとこっそり願った。


 漏れ鍋では、ロンの家族全員と食事をし、楽しい夕食を過すことができた。ジニーは相変わらずハリーのことが好きなのか、顔を真っ赤にしていたし、フレッドとジョージのジョークはデザートのプリンを噴き出させるほど面白かった。パーシーは今年からホグワーツの主席になったせいか、ますます真面目な人間になったように見えた。ロンの母親も変わらず元気で、数日前にフクロウ便で送った毛糸のことをとても喜んでくれたし、ギュッと大きな抱擁を受けた。

 食後は明日の準備に各々が部屋で過ごしていたが、ミラの部屋にフレッドとジョージが訪ねてきた時、上手く言いくるめられて前髪を切られてしまった。もう三年目となるとミラは何も言わず、大人しく切られることを受け入れていた。何を言っても双子のてから逃れることは不可能だと分かっていたからだ。

 鏡を覗き込めば、鼻先まで伸びていた前髪は、今は眉毛に被るくらいの短さになっていた。相変わらず双子の手の器用さにミラは感心した。しかし、後ろの髪だけは整えるだけで、短く切ってもらえないことにミラは不満を抱いた。後ろの髪の毛は既に肩甲骨にまで届き、結んでいないと鬱陶しいと感じていた。
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