第7章 飛行訓練
金曜日の魔法薬学だけが、グリフィンドールとスリザリンが唯一授業が被る日だったのが、談話室のお知らせを読んだ一年生の皆んなは一斉に肩を落とした。皆んなはすっかりドラコが嫌いだったし、彼からの嫌な思いは週1で済めばまだマシだった。
ところが今度の木曜日から、スリザリン寮生と『飛行訓練』が始まることになった。ハリーはすっかり落ち込み、自分が箒に乗って笑い物になるとぼやいた。ミラはハリーが箒に乗るのを楽しみにしていたのを知っていたため、余計に不憫に感じた。
「大丈夫さ、ハリー!まだ乗ってもないのに落ち込んだってしょうがないよ」
ミラはハリーの肩にポン、と手を置いた。
「いざとなったらわたしがドラコにわざとぶつかって箒から落としてやってもいいよ」
「そりゃいい案だ!それにあいつ、『クィディッチ』がうまいっていつも言ってるけど、口先だけさ」
ロンもミラの提案に乗り、ハリーに笑いかけると、ハリーはちょっと元気になった。ドラコはよく飛行について話していた。1年生でクィディッチの代表選手になれないのは残念だと不満をよくこぼしていたし、彼の長ったらしい自慢話をいつもみんなに聞こえよがしにしていた。
「いっつもあのマグルのヘリコプターを危うくかわしたって話、わたし、もうそろそろ笑いそうになるんだけど」
ミラはドラコがいつも話の落ちに出るヘリコプターの話を思い出したのか、口元に手を当てて笑いを抑えていた。
「あんな奴の話、よく聞いてられるよな」
ロンはうんざりだと言わずとも顔に出ていた。
「おかげで毎週魔法薬学の授業は楽だよ、皆んなに比べれば。話を聞いて『へぇ君って凄いね』って褒めるだけでまた一緒に組んでくれるし」
グリフィンドール寮生の大多数が、魔法薬学の授業、特にスネイプ先生が嫌いな中、ミラはのらりくらりとやり過ごしていた。初日の授業が思いの外上手くいったおかげで、毎週ミラはドラコとよく組んでいた。
そのおかげでスネイプからの嫌味や注意は受けることはなく、魔法薬学の授業が終わる頃には、ミラだけがピンピンしていた。
「それができるのは君だけだと思うよ…」
ため息まじりにハリーが言うと、ミラはニヤリと笑って見せた。