第5章 組分け帽子
「いったいどうやって寮に入る方法を決めるんだろう」
と、ハリーはロンに尋ねていた。ミラも気になり、ハリーの横にいるロンを見た。
「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」
手櫛で直らない髪で顰めっ面のミラの顔はますます顰めっ面になった。ハリーは顰めっ面ではなかったが、今まで魔法を使ったこともなければ、触れたことも1ヶ月前の二人に、いきなり試験をさせられるなんてと思うと、嫌に緊張した。
周りのみんなも同じように緊張しているのがわかった。ハーマイオニーだけは、どの呪文が試験に出るのだろうと、今までに覚えた呪文を全部早口で呟いて、ハリーは聞かなかったことにしようとまた前を向いた。
ミラはそんな様子のハーマイオニーが少し面白いと感じ、横にいるハリーたちをこづいて小さな声でハーマイオニーの真似をしてみせた。
「君、なんのつもりだい?」
「面白くない?これでも二人の緊張を取ろうと思ったのに」
「あいつみたいにはならないでくれよ…」
ロンは心底嫌そうな顔で言った。ハリーは苦笑いを浮かべるだけで、緊張が取れたとは言いにくかった。
「ハリー、いざとなったら前に先生のカツラを青くしてやったように、誰かの髪を青くすればいいさ!」
「冗談じゃないよ、ミラ!そんな魔法じゃ笑われちゃうよ…」
「僕もその魔法いいと思うよ、ジョージとフレッドが好きそう」
はぁ、とハリーがため息を着くと、マクゴナガル先生が戻ってきた。いくらか取れた緊張も、先生が戻ってきたことでミラもまた緊張した。
「さぁ一列になって、着いてきなさい」
ミラはハリーの前へ、ハリーの後ろにはロンが続いた。ミラの前には黄土色をした髪の毛の少年の後ろを歩いた。再び玄関ホールに戻ると、ついにミラたちは大広間への扉をくぐった。
大広間の中は何千という蝋燭が空中に浮かんでいて、四つの長いテーブルを照らし出していた。テーブルにはすでに上級生たちが着席していて、テーブルの上には、輝く金色の皿とゴブレットが置かれていた。ミラは感嘆の声を漏らして辺りを見回した。