第4章 9と3/4番線
自分がどこに組み分けされるのか、考えてもわからなかった。ハグリットが言ったハッフルパフは優しい人が多いと聞いて、自分は絶対に違うと思ったし、レイブンクローがどれほどの知識を欲しているかはわからないが、自分がそうでないかぐらいわかっていた。グリフィンドールでパッと思い浮かぶのはウィーズリー家だが、やはりあの暖かそうな家族と自分を比べると、自然と違うと思えた。
だとすればスリザリンが自分にはあっているのかもしれないと思った。性格もいいと思っていない。でもハリーの両親を殺した人物がいた寮と思うと、少し嫌な気分になった。何より、ハリーと一緒ならどこでもいいが、ミラの答えだった。
「…せめて親がどこかわかってればよかったかも」
「何も知らないのか?」
些か愕然としたドラコの声にミラはホグワーツからドラコへ戻した。
「なーんにも。孤児院に置き去りさ。音沙汰もない、親戚も来る気配がなかったよ。ま、気ままでいいけど」
ミラのなんとでもないといった様な言い方に、ドラコは難しい顔をしていた。ミラの薄い菫色の瞳には、まるで感情がこもっていない様な気がしていて、少しゾッとした。
ハグリットの掛け声で、ボートは鏡のような湖面を滑る様に進んでいた。
・・・・・
ボートは無事地下の船着場につき、また少し歩いてから、巨大な樫の木で作られた扉の前に集まった。そこでハリーとロンの目立つ赤毛を見つけ、ドラコに別れを告げた。
「スリザリンだったらよろしく。あ、でもドラコがハッフルパフになって退学するかどうかも見物だけど」
「僕は絶対スリザリンだ。君もせいぜいならない様にするんだな」
「忠告ありがとう」
人混みをぬってミラはハリーたちと合流した。戻ってきたミラに「どこ行ってたんだ」とハリーに言及されたが、ミラは適当なボートに乗ったと答えた。