第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
ミラたちが思うより、クィレル先生は思った以上の粘りを見せていた。日が経つごとにクィレル先生はますます青白くやつれて見えたが、口を割った気配はなかった。
四階の廊下を通るとき、四人はフラッフィーの唸り声が聴こえるかどうか、ドアにぴったりと耳を当てて聞いていた。
「ちょっとでいいんだ、フラッフィーを見てみたい」
その度にミラはフラッフィーを見たくて堪らないと、好奇心を抑えるのに苦労した。ハリー達の説得でなんとか我慢しているが、ハリーはミラがこっそり見にくるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。
時々不機嫌そうなスネイプ先生が上着を翻して歩いているのを見かけると、石はまだ無事だという唯一の証拠だった。
クィレル先生と出会うたびに、ハリーは励ますような笑顔を向け、ロンはクィレル先生のどもりをからかう連中をたしなめはじめた。
「君もクィレル先生を励まそうと思わないのかい?」
と、ロンが唐突にミラに言った。
それはミラがいつものようにクィレル先生に対して、変わらない態度をとっていたからだった。ミラはめんどくさそうにロンを見やると、大きなため息をついて見せた。
「わたしがハリーみたいなチャーミングな笑顔、できると思ってるの?」
ハリーは照れくさそうに首の裏をかいた。
ミラにはクィレル先生よりも、気になることがあった。廊下を歩いていると、時々視線を感じるのだ。その視線が自分が一人でもいる時に感じ、ミラは注意深く辺りを見回したが、その正体はつかめないままでいた。ハリー、ロン、ハーマイオニーからは特に気にしている様子がなく、ミラも自信過剰かもしれないと、自信を持って言えないでいた。
そしてめんどくさいことがもう一つ、クィディッチの試合以降続いていた。