第12章 ニコラス・フラメル
新学期の前日にハーマイオニーが帰って来た。ハリーが3回も寝室を抜けて学校中をウロウロしていたことに呆れつつも、ニコラス・フラメルのお情報が一つも手に入らないことに悔しがっていた。
「でもフィルチに捕まらなくてよかったわ」
「捕まらないよ、ハリーがあんなノロマに…そうだ、今度透明マントを被ってフィルチに足をかけるってのはどう?」
ミラは名案だ!と言わんばかりにハリーを見ると、ハリーはボゥっとどこか遠くを見つめていた。
「あの鏡のせいで悪夢を見て眠れないんだってさ」
ロンはハリーが悪夢にうなされていると言うと、ミラはショックを受けハリーの両肩に手をついた。
「どうりで最近目の下にクマがあると思った!どうして言わなかったんだ!」
「大丈夫だよ、最近マシになってきたんだ」
「…」
ミラはジトリとハリーを睨みつけると、ハリーは困ったように苦笑いした。
「本当だよ、ミラ。だからそんなに心配しないで?」
ミラはまだ何かいい足りないような、ムッと口をつぐんでいたが、ハリーが思ったより頑固なことを知っていたミラははぁとため息をついた。
「今度透明マントを貸すってことで見逃すよ」
「それは…うん、わかった」
渋々ハリーは了承すると、ミラはニヤッと笑ってハリーの肩に腕を回した。
「ありがとう、ハリー!」
「最初からそれが目的だった?」
「えー!?わたしは本当にハリーのことを心配してだな」
「あーはいはい」
「親友がこんなに心配してるってのに」
「透明マントを使って何をする気だい?」
全く心配そうな顔には見えないミラにハリーは目を細めてミラに問いかけた。ミラは声を潜めてハリーの耳元で囁いた。
「フレッドとジョージが面白そうな花火を作っててさ、今度スネイプ先生の部屋で爆発させるってのはどう?」
「ミラ…君は天才だ!」
「駄目よ、ハリー!」
ピシャリとハーマイオニーが話を遮った。
「そんなことに透明マントを使うなんて駄目!」
「相変わらず地獄耳だな、ハーマイオニーは。ハリーの気分が一発でよくするにはこれが一番だ。ぐっすり眠れるよ」
「逆に寝れなくなるわ!思い出して---あ」
ハーマイオニーはしまったと言う顔で口に手を当てた。