第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
十一月になると、ホグワーツの周りは灰色に凍りつき、窓から見下ろすことができる湖も凍りつくようになった。
ハリーのクィディッチの練習は相変わらずだが、ついに今週土曜日にハリーの初試合となる。ついにクィディッチのシーズンがやってきたのだ。更に相手がスリザリンなだけに、グリフィンドールの談話室はいつも以上に賑わっていた。何故なら、スリザリンに勝てば寮対抗試合の2位に浮上するからだ。
ますますハリーのクィディッチの練習が増える中、ミラはハーマイオニーと過ごすことが増えた。あのトロールの事件後、ハーマイオニーは少しだけ規則にうるさくなくなったお陰か、ずいぶんと優しくなった。
最近は毎朝ミラが髪を手櫛で直しているのを、自分のブラシを持ってきて綺麗に整えてくれるほどだ。おかげで髪は指通りが良くなり、結ぶのも楽になったほどだ。初めは照れ臭いなど、お節介が過ぎると思っていたミラも慣れてしまえば心地いいものだと分かり、最近は何も言わずハーマイオニーの好きにさせている。
今日も女子寮の自室で鏡のあるテーブルを独占して、ミラは椅子に座り、ハーマイオニーはその後ろでミラの髪を丁寧にブラシで梳かしていた。
「手櫛でずっと直しているなんて!あなたはもっと自分の髪を大事にするべきだわ!」
「そう?」
ミラは興味がなさそうに答えた。
「羨ましいわ…見てよわたしの髪、絶対に真っ直ぐになることなんてないわ」
「…わたしはハーマイオニーの髪はふわふわしてていいと思うけど…」
「雨の日のわたし見たことある?広がって大変なのよ!」
ミラはそれ以上口出ししようとは思わなかった。こうなったハーマイオニーの意見を変えるのは難しいと知っているからだ。
「前髪も随分伸びてるわ、せっかく素敵な瞳をしているのに見えないなんてもったいないわ!」
突然ハーマイオニーは横に回り込み、ミラの前髪を手で優しくかきあげた。ハッとミラは咄嗟に身を捩り背をのけぞらせた。その行動にハーマイオニーは驚いたようにミラを見ていて、ミラは苦笑いしながらこう言った。
「前髪はこのままでいいんだ…」
手で前髪を押さえつけて、まるで見ないでほしいと行動をとったミラはどこか寂しそうに見えた。