第3章 桜とシャンプーと貴方の髪
彼女の目が泳いだのを見逃すはずがなかった。
「触られたのですね。それは許せない。
貴方に触れていいのは私だけです。」
彼女の髪を撫でながらさっきよりも深く深く口づけをして、口を離すとお互いの口から透明な糸が引いた。
「……は……ぁ……な……七海。」
彼女の潤んだ目と息遣いに少し頬が緩みそうになった。
「触られたのはただ糸くずが付いていただけだよ。
その時に風が吹いてシャンプーの香りに気が付いたの。」
「……それは失礼しました。」
「ふふ、七海が嫉妬するところを見られて嬉しいよ。」
そんな風に可愛く微笑む彼女を再度抱きしめて唇にキスをした。
願わくばこのままずっと……私の腕の中にいればいいのに。
-------完-------