第16章 アラクラトロと軟弱な優しい人
アラクラトロが倒れ消えていくとその場にいる全員がほっとする。
マルティナも救出が終わっていた。
「これで一件落着だな…」
カミュが胸を撫で下ろすと同時にハンフリーの意識が戻る。
傍にいたラァラが起き上がるハンフリーを支えた。
「なぜ、このようなことをしてしまったんじゃ?」
「………仕方なかったんだ。俺みたいな三流闘士の稼ぎじゃ子どもたちを養うことが出来なかった」
ハンフリー曰く、金が底を尽き頭を抱えていると孤児院の真下からアラクラトロの声がし力を手に入れる代わりにアラクラトロに手を貸すことを決めてしまったとのこと。
「ろくでもない契約なのは分かっていたが、おれは孤児院と子どもたちを守るためにはこうするしか…」
ハンフリーはガクンと項垂れる。
それを見ていたラァラがパチンとハンフリーの頬を平手打ちした。
「わたし、そんなことしてまで守ってもらいたくなかった!」
ラァラの目からポロポロと涙が溢れ出す。
「人をさらって悪いことして自分の身体も大事にしないでそんなことして守られたくない!!」
うわぁぁと泣き出したラァラにサランが近づき優しく抱きしめる。