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【ヒロアカ】泡沫少女の歌声はどこまでも

第19章 君にはやっぱり、隠せない。


-物間side-


『ありがとう』

あくあは最後にそう言った後、
しばらく黙ったまま
静かに抱きしめ合っていた。


この場に2人しかいない、
静かな空き教室


窓の外の葉が風に揺れる音だけが響いて、
ここが学校の中だということなんて
忘れそうになる。



「あくあ」


自分の腕の中にいるあくあに耳元でそっと呼びかける。


「あれ、もしかして寝てる??相変わらず寝付くの早いな…」


返事がないと思ったらスースーと
静かな寝息が聞こえてきて、
どうやらあくあはそのまま
寝てしまったらしい。


「ていうか2日間寝た後にまだ寝るのかよ。まぁ、久々に色々あって疲れてるのは分かるけどさ」


あくあの体重を支えながら
僕は教室の壁に
もたれかかるように座り込んだ。


(初めて泣いてるところ見たな…)

昔も多少は僕の事を
頼っていてくれたけど、
ここまで本音を
ぶつけてくれたのは初めてだった

雄英に入学してすぐ
消太さんに呼び出されて
何かと思えばあくあも雄英に
通うことになったって言われて、

そしたら今度は一昨日の授業で
あくあの個性が暴走したって聞いて

もう何が何だか。



でも……ひとまずちゃんと
本音を話してくれて安心した。
これ以上一人で抱え込ませたくない。


静かな教室の中でそんなことを考えながら
僕はゆっくりと動いていく時計の
針を眺めていた。

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