第2章 □朝
『まあいいけどさ。んで、今日はどこ行く?』
私と硝子には、行き付けの居酒屋が何軒かある。もっとも、私は悟程ではないものの結構お酒に弱いのだが。悟とは違って飲めなくても大好きなので、新手の拷問が何かだと思っている。
「そうだな…まあ今日は"小鳥小箱"でどうだ?私、あの店のクーポンで使えてないのがあった気がする」
『まあね。あそこの大将、気前いいから美味しいって言うとなんかしら出してくれるし』
そんな居酒屋談義に花を咲かせていたら、医務室のドアがガラガラガラッ!っと開いた。
「夏奈ー!硝子ー!」
「パンダ、声がデカイ」
「おかか」
そこには、憂太以外の二年勢三人が立っていた。
『お、二年勢じゃん、なんか久しぶり!』
「言う程じゃねぇけど」
「いっつも思うんだけどさぁ」
硝子が口を開く。
『ん?』
「真希のしゃべり方って高専生の頃の夏奈にそっくりじゃないか?」
『そおかぁ?』
「え、少なくとも顔はかわいい系代表の夏奈がこんな真希みたいな…?」
「…ツナマヨ…?」
「『一言多いんだよ!!』」
「ほら」
クスクス笑う硝子に、私と真希は顔を見合わせる。確かに、言われればそうかも…。
「まあ僕は、夏奈のその顔と性格のギャップが好きなんだけどね~」
またドアが開く。本日二回目の来客である。
「「「「『バカの意見は聞いてない/おかか』」」」」
「え?夏奈と一番付き合い長いの僕なんだけど?」
そんな下らない話をして笑い合うのが、堪らなく好きだ。