第7章 【第五講 前半】文化祭は何かとトラブルになるけどそれも又青春
「頼む! とっ捕まえてくれー!!」
またクラス内のイザコザかと思いつつも、目の前で行われている狼藉は確かに食い逃げというより強盗だ。
クラスメイトだろうが、犯罪行為は見逃せない。
「神楽ちゃん! ちょっとストップ!!」
ムスッとした表情を浮かべながらも、神楽は動きを止めた。
神楽に合わせるように定春も動きを止めている。
○○は一息ついて屋台に近づくが、
「大丈夫? ケガしてない?」
横切った際に聞こえた女子生徒の声で足を止めた。
見れば、女子生徒のスカートの裾に切り込みが入れられていた。
鋭利な刃物のようなもので切り刻まれた形跡がある。
「誰かにやられたの?」
生徒に危害を加える手口。インクをかけた犯人に通じるものがある。
○○の思考は完全に切り替えられ、女子生徒へと向けられた。
「ちょっ、□□!?」
頼みの○○が目前で足を止めてしまい、長谷川は寄る辺を失くした。
「定春! ワンモアランチタイムアル!!」
「ワン!!」
○○が足を止めたのをいい事に、神楽と定春は再び屋台の食材を漁り始めた。
神楽の腹中に収まるお好み焼き、前歯にくっ付く青のり。
定春に食い散らかされる卵、豚コマ、キャベツ、紅しょうが。
「□□!! こっち! こっちどうにかして!!」
長谷川に救いの手を差し伸べる者はもういない。
【第五講 後半】へ続く→