第7章 【第五講 前半】文化祭は何かとトラブルになるけどそれも又青春
文化祭の警備について話し合っている場で、○○と土方はまたもや口論となった。
当日、自分等は文化祭を楽しむ時間は持てないのか……
土方の目を恐れながらも勇気を出して発言された一年生委員の言葉は、その鋭い双眸に棄却された。
開幕から閉幕まで委員全員で警備にあたる。
風紀委員になったからにはイベント事を楽しもうなんて考えは捨てろ。
の、一点張り。
「意義あり!」
そこで挙手して立ち上がったのは○○だ。
「私達にも文化祭を楽しむ権利はあります。任務は交代制にすればいいんじゃないでしょうか」
またかというように、土方は○○を睨みつける。
「今年は寺門通が来て多くの来客が予想されんだ。人手は多ければ多い方がいいんだよ」
銀八の提案により、人気絶頂アイドルの寺門通を招聘することに成功した。
「他の生徒達が楽しんでいる中、一切楽しめないのは酷なことです。働く時は働く、遊ぶ時は遊ぶ、その切り替えが大事だと思います」
他の生徒を羨みながら見廻るよりも、任務が終わればお楽しみの時間、充分楽しんだから残りの時間は任務にあたる、とメリハリをつけた方が士気も上がるというのが○○の主張だ。
一年生委員達は頷きたいが、土方の目を恐れてジッとしている。
「これは私達の、銀魂高校全生徒の文化祭なんですから」
○○は土方を鋭く睨む。
論争を続けていても、○○が意見を曲げることはないだろう。
食い違った校則改定の二の舞になることは必至。
土方は的を変え、委員達を見回した。
「いいだろう。文化祭を楽しむ時間を各自一時間、与えてやる。遊びたい奴は遊べばいい」
その目はいつも以上にギラついている。
手をこまねき、横柄な態度で一人一人と目線を合わせる。
土方と目が合った委員達は、一人残らず視線を逸らす。
与えられた一時間を喜ぶ者は誰一人としていなかった。
遊んでいる最中に土方と遭遇したら、後が怖い。
自由という名の一時間は、実際には土方に怯える時間となりそうだ。
結局、土方の目を恐れた委員達は、委員長以外の誰も与えられた自由時間を使う者はいなかった。