第5章 【第四講 前半】野球の話は後半から。
「おはようございまーす」
正門の前に立ち、○○は登校する生徒達と笑顔で挨拶を交わす。
3年Z組の生徒となって幾日、○○は風紀委員として初めての仕事に就いている。
――風紀委員になりたい!
――よし、歓迎する!
委員長の鶴の一声で、○○は希望する風紀委員になれた。
本来ならば人数の割り振りがあり自由になれるものではないが、銀魂高校の場合は簡単になれるのだ。
というか、本誌沿いでの立場上、○○が風紀委員となることは必定なのだ。
「おはようございまーす。あ、スカーフ曲がってますよ~」
穏やかな朝。
問題のある生徒もおらず、○○は特段指導をすることもなく、登校時刻は着々と過ぎていく。
世間から白い目で見られることもある銀魂高校だが、多くは普通の生徒だ。
銀魂高校の悪評は、全て、とある一クラスに起因している。
そのクラス、3Zに属する一人の生徒がやって来た。
「□□さん、おはようでござる。あ、いや、おはようござります。……ん?」
聞こえた声に○○は振り返る。見えた姿に○○は表情を歪めた。
そこにいたのは桂小太郎。彼の後ろに、謎の白い物体が立っていた。
「桂くん、何、そ、それ何!」
まん丸い瞳に黄色いくちばし。
未だ出くわしたことのない未知の生物。
「俺のペットだ。エリザベスという。□□さんに紹介しようと思い、連れて来た」
そう言いながら、桂はエリザベスの曲線を撫でる。
絶句する○○をよそに、桂は「可愛いだろう?」と我がペットを自慢する。
桂の後ろでエリザベスは『よろしく』と書かれたボードを掲げた。