第4章 【第三講 後半】そして棒倒し……
掠めた銃弾は僅かに髪を焼き、プスプスと音を立てている。
だが、それは阿伏兎の髪ではない。
「……ッ!!??」
何が起こったかわからず、青ざめているのは新八だ。
「あ、ズレた」
銃弾は阿伏兎の隣に座り込んでいる新八の髪の毛を焼いて抜けて行った。
○○は松葉杖の先端を新八に――もとい阿伏兎に向けている。
「あわばばば」
新八はガクブルと震えている。
「なななななな、何なんですか、一体ーっ!!」
唾をごっくりと飲んだ後、ようやく新八は声を出した。
「源外先生特製の松葉杖だよ。改造しておいてもらってよかった」
「ここは普通の高校なんですよ! そんな改造したら、確実に逮捕されます!」
「だから、こっそり使ってるんだよ」
「どこがですか! ギャラリー、ガン見ですよ!」
保護者席からザワザワと、今までとは比べものにならないざわめきが聞こえる。
さらにこの模様はインターネットで世界中に中継されている。こっそりどころではない。
「そりゃ参ったね。ちなみに左の杖からは醤油が出るんだよ」
「知るかァァァ!!」
新八は額に青筋を浮かべる。
「はァ……」
○○と新八のやり取りを見て、阿伏兎は頭を掻きながら溜め息をついた。