第10章 【第七講 前半】修学旅行のハプニングはベタ中のベタでよし
「よし、次」
「なんでだよ!」
○○に甘い銀八を新八はなじる。
新八は靴下に隠していた北海道行きのチケットを没収された。
とても納得がいかない。
「つか、バッグ開く前から既に不要なもんが見えてるし!」
小説もそうだが、それ以上のものを○○は担いでいる。
○○は肩に細長い棒状のものを担いでいた。竹刀だ。
「それ以前に、何で銀八先生がチェックしてんですか!」
女子の荷物を調べるのは、女性教師の役目だ。
女子には男には見られたくないあーんな荷物や、こーんな荷物がある。
男性教師がチェックを行えば、セクハラだと訴えられるだろう。
「私が言ったんだよ。銀八先生でいいって」
理由は明白。
銀八ならば、○○が持参した不要なものを見逃してくれる。
「むしろ、銀八先生がいい」
二コリと、○○は銀八を見上げる。
「お前らは○○が信じらんねーのか? ○○が変なモン持って来てるわけねーだろ」
「だから、既に見えてんだよ!」
「納得いかねーよ!」
バイト雑誌を没収された長谷川と、巨大マヨネーズボトルを没収された土方からクレームが飛ぶ。
「わかってないね、土方くん」
ふーっと、○○は息を漏らす。
「京都だよ。有象無象の悪たれ達が跳梁跋扈してる町だよ。丸腰で乗り込むのは危険だよ」
「江戸時代の京都に行くつもりか、お前は!」
「手の施しようがない悪たれが跋扈してるのは、江戸時代も現代も同じだよ」
「それは確かにな!」
日本全国津々浦々、どこでもいつの時代にも、狼藉者は存在する。