第192章 束の間の休息⦅みんな⦆
授業終了を告げるベルとともに、扉の向こう側から人の動きが賑やかになった。
ガラッ、と元気よく扉を開けて入ってきたのは1年生の釘崎野薔薇、伏黒恵、虎杖悠仁だった。
「 月宮 センセー、ご飯食べよー!」
それぞれ昼食を手に部屋の中に入った。
『3人とも仲良しだね』
自分のお弁当を用意しながら皆で いただきます、をしようとした時。
ガラガラ…、と扉が開き、1年担任の五条悟、事務員の宿儺が入ってきた。
「…何だ、また来ていたのか」
宿儺は自分そっくりの虎杖をチラリと見て、なな の隣を陣取った。
宿儺と虎杖は年の離れた兄弟で、虎杖は兄に憧れて高専に入学してきたのだ。
上層部は宿儺が現場で呪霊を祓う事を望んでいるが、宿儺は「面倒だ」と現場に出向く事は少なく、高専で事務方に徹している。
「 なな ~、午後から任務に出掛ける僕にパワー注入してー」
甘えるように なな に話しかける五条。
そんな五条に大きな ため息をつきながら宿儺は おにぎり を1口頬張った。
「相手にしなくて良いぞ、なな 。と言うか毎回休み時間に人が集まり過ぎだろう」
『そうかな?』
お弁当のおかずを食べながら なな は首を傾げた。
「………卵焼き」
宿儺は なな の お弁当箱に入っていた卵焼きを じーっと見つめ、呟いた。
ハイ、と卵焼きを宿儺の口へ運んでやる。
「ぁ"ーズルいぃ!」
五条がギャーギャー叫んでいるとまた扉が開いた。
「うるさいぞ、五条。外まで響いてる」