第189章 焼きもち⦅宿儺 現パロ⦆
昼休みの時間帯。
電話番を残すために職員は なな と宿儺だけだった。
「こんにちは」
小さな事務所の受付に元気な声が響いた。
『あ、こんにちは。久しぶりですね』
自分のデスクから受付に向かう なな の明るい声が返事をする。
「えぇ。1年ぶりですかね。近くに寄ったもので、ちょっと挨拶に」
にこにこ と なな と会話をしているのは営業の取り引き先相手。
「また担当が こちらに戻ったので、何かありましたら お声がけ下さい」
『ありがとうございます。そう言えば、髪型替えたんですか?』
井戸端会議でも始めたのかと思うほど、和気あいあいと他の男と話をしている なな を見ているのは面白くない。
「 月宮 さん も髪 延びましたね。大人っぽくなりました?」
『それ褒めてるんですか?』
クスクスと2人で笑い合っている様子に ゴホン と大きく咳払いをする。
「 なな が髪を延ばしているのは理由があるのだろう?」
頬杖をついて なな と営業に視線を向けると、なな は照れたように頬を染めた。
「願掛けですか?」
営業が聞くと、なな は頬を赤くしたまま『結婚式のために』と答えた。
「え?! そぅなんですか? おめでとうございます」
営業は驚いたようだが、すぐに お祝いの言葉を伝えた。
お相手は、と言いかけた営業は こちらを チラリ と見て、それ以上言わずに「今度は ちゃんと営業のためにお邪魔します」と言って出て行った。
営業が帰り、静けさが戻る事務所。