第184章 涙の種類⦅虎杖悠仁⦆
俺は罪悪感から なな から視線を外し、伏黒を見た。
「…伏黒、頼む」
伏黒は唇を噛んで、なな を抱えて その場を離れてくれた。
なな の涙を見た時、頭の中で爺ちゃんの言葉が響いた。
【大切なヒトを悲しませるな】
あの時 理解できなかった爺ちゃんの言葉の意味をやっと分かった気がしたんだ。
そして、何だかんだで無事(?)生き返って、京都校との交流会での五条先生考案のサプライズで また なな を泣かせてしまった訳で…。
ぼろぼろ と溢れる涙を拭(ぬぐ)う なな に、涙を堪えているように見える釘崎、女子2人を心配そうに見る伏黒が居た。
「悠仁ってば 女の子 泣かせちゃダメでしょぉ?」
そう言う五条先生に、先生のせいでしょうが! ってツッコミたくなったけど、なな の流す涙は、少年院で流した涙とは別のものだと分かってた。
だって なな は泣きながら『良かった』って何度も言ってくれてたから。
そんな なな を見たら自然と体が動いてて、なな を抱き締めてた。
「…心配かけてゴメンな」
俺の腕の中で なな は小さく頷いた。
涙には色んな種類があって、本当に自分の事を想って流してくれる涙が こんなに心地好いなんて思わなかった。
俺、考えるよりまず行動、ってタイプの脳筋だから、また なな を不安にさせて泣かせちゃうかもしれない。
でも、その分たくさん笑わせるから。
だから、俺の隣にずっと居てね なな 。
***おわり***