第183章 誰のため?⦅虎杖、宿儺⦆
「今日も虎杖は ずーっと なな の隣に張り付いてたわね」
にやり、と意地悪く釘崎は笑った。
「そろそろ虎杖から告られるんじゃない?」
『そんな事ないよ』
苦笑する なな に、釘崎は「告られたら教えなさいよ?」と言った。
それから いつも通り4人で過ごし、何の前触れも無く なな は虎杖から告白された。
虎杖は明るく裏表が無く、断る理由はなかった。
だが、なな はその場で返事をすること無く、『少しだけ考えさせて欲しい』と伝えた。
その日、なな は釘崎を自分の部屋に呼び、どうしたら良いか相談していた。
「で? 何で悩むの? 虎杖のことキライじゃないでしょ?」
伏黒の方が良いの?、と釘崎が聞いた。
『どっちが、とか そういうんじゃないんだけど、虎杖くんの中の宿儺が………』
「あぁ」
『宿儺と体を共有しているって事は二重人格みたいなイメージだから……。
虎杖くんは私の事を好いてくれていても、もし宿儺に体を支配されたら どぅなる? きっと私の声は虎杖くんには届かない…。
虎杖くんと付き合うって事は、虎杖くんの中の宿儺も意識しながら付き合わなきゃいけないと思うんだ』
「真面目ね、なな は」
ふぅ、と ため息をついてから釘崎は「でもさ」と言って続けた。
「五条先生じゃないけど、" 今 " は今しか無いのよ?
宿儺の事も確かに考えなきゃいけないとは思う。でも、それって誰のため?」
『え?』