第182章 否定しないで⦅五条⦆
僕と なな は付き合っている。
それは周りも承知のこと。
嫌がらせ大好きな上層部も知ってる。
だから ほら、今だって なな に京都校の おじぃちゃんが何か言ってる。
「五条のひねくれ者をうまく手懐けるとは さすがだなぁ、月宮 」
楽巌寺は顎に蓄えた白く長い髭を擦った。
『⦅ ひねくれ者って…… ⦆アハハ。手懐けるなんて大袈裟ですよ』
気分を害しながらも愛想笑いをし なな は答えた。
「たかだか2級止まりの 月宮 に五条が惚れ込むのは やはり【顔】かのぉ」
実力社会の呪術界。
特級の五条に自分なんかが釣り合うはずがない。
それは なな が一番気にしていることだった。
楽巌寺の嫌味を返す事ができずに居ると、なな の肩に急に重みが加わった。
「僕の なな をイジメないでくれる?」
すぐ近くに居る五条を見上げ、なな は『悟…』と呟いた。
「イジメる とはなんの事やら。本当の事を言ったまでだが?」
「はぁウザ。いつまでも階級ばっか気にしてるから呪術界は進歩しないんだよ。
階級気にするなら 誰も僕に命令する事はできないはずだよねぇ?
それを任務やら何やら聞いてやってんだから 大人しくしとけやクソジジィ」
「…クソ餓鬼が…」
お互い睨み合っていると、五条が先に折れた。
「嫌味ジジィは放っといて あっち行こ なな 」
なな は五条に手を引かれ、その場から去った。