第180章 呪縛を解いて⦅伏黒⦆
伏黒くんの第一印象は、クールな感じ。
実際もクールだけど、仲間想いで自分の信念をしっかり持ってる強い人だった。
「釘崎は喜怒哀楽 しっかり表現するけど、月宮 は感情を表に出さないように訓練されてきたのか?」
1年生みんなで買い物に出掛け、お会計をしている野薔薇と、その隣には荷物持ちで待機している虎杖くん。
少し離れたベンチで私と伏黒くんが並んで座っていると、伏黒くんは そう問いかけてきた。
『違うよ。呪術師だから、って感情を抑えてるワケじゃなくて、私のクセ?みたいな感じになっちゃったの』
伏黒くんの方を見て、苦笑しながら そう答えれば伏黒くんは「そうか…」と一言だけ呟いた。
「俺は 月宮 の過去を知ってるわけじゃないけど。
もう少し肩の力を抜いて良いんじゃないか?」
ふ、と柔らかく伏黒くんは笑った。
「釘崎みたいになれとは言わないけど、楽しみたい事があるなら それをすれば良いと思う」
同い年のはずなのに大人染みた発言に少し驚いたが、安心した。
【本当の自分】を表現して良いんだと言ってもらえている気がした。
それから少しずつ私は、自分自身の勝手なイメージで動かされる事は無くなった。
虎杖くんや野薔薇と一緒に少し ふざけてみたら最初は とても驚かれたけど、たくさん笑った。
[イメージじゃない]と否定されない安心感が少しずつ自分自身をさらけ出す事ができた。